Post-K (スパコン) [科学、数学]
富士通フォーラムで展示されていた、次世代スーパーコンピュータ Post-K のプロトタイプを見てきました。
プロトタイプなので、こんな地味なラックに入っている。
CPUは、Arm V8 で、一つのチップに48コアも入っているそうです。
こんな水冷式の基盤に、CPUが2つ乗ります。意外とコンパクト
性能は、現在の京の100倍だけど、消費電力は3倍ぐらいに収まるそうです。
流行りのGPUやFPGAのようなアクセラレータは搭載しないらしいです。
プログラムを作る人からすると、アクセラレータ無しの方がチューニングが楽で、性能を出しやすいので、使いやすいスパコンになるんじゃないかと期待しています。
AIの歴史の資料を作らなければならなくなったので、家の中から、第二次ブーム最盛期の頃の雑誌 Bit 1987年9月号を発掘しました。
西暦2000年頃には、ユートピアを迎えていることになっていたようです。
「イノベーション」という単語も見えます。
AI関連の記事は、しょーもない(一応、自分も当時、外資系メーカでAI担当でした。反省してます。)のですが、
人気コラム「アレフ・ゼロ」の「サブカルチャーのすすめ」
『町内会に「やねせん」(谷中・根津・千駄木)という地域雑誌があって,サブカルチャーながらときに面白い記事がのるので愛読している.』
『これからの課題は,AIソフトウェアの開発である.つまり編集長の方針に従って,構成や推敲をやってくれるプログラム,また文体改良をやってくれるプログラムがあればうれしい.』
と30年以上前に書かれた記事とは思えない内容です。
もう一つの人気連載「コンピューティングの玉手箱」は、「ブフバーガ アルゴリズム」(最近はグレブナー基底と言ったほうが通じやすい?)
多変量連立方程式を解くときに使ったりする(ディープラーニングで解こうとしないように!!!)、現在の、コンピュータ代数の中核となるアルゴリズムですが、
30年たった今、”AIでシンギュラリティ”の人達のほとんどは、この言葉さえ聞いた事が無いようです。
(現在のアルゴリズム軽視というか無視の風潮は、オブジェクト指向とかデザインパターンのブームを彷彿とさせます。)
ここで、30年前の、勘違いの一つの例として、1985年のAmerican Scientist, Volume 73, No.3, May-June に掲載されていた写真を(Brianさんゴメンナサイ)
ホワイトボードに書いてある、◯六 (丸六とかいう屋号ではないです。)、まさかのトランジスター...
情報処理能力は、
脳細胞1個 ≒ トランジスター1個
って思っていたんですね。
人間の脳細胞の数は、たかだか千数百億個なので、半導体の集積度が上がれば、いずれ追いつくだろうという予測でした。
でも、その後すぐに、
もしかしたら脳細胞って、IC一個分ぐらい? いや、LSI一個?、 いやいや、簡単なCPU(トランスピュータなど)一個ぐらい?
(このままだと俺達ちょっとヤバイんじゃない、なかったことにしておこう...いや僕は、はなから無理って言ってましたよ、、、本当にゴメンナサイ)と、言う感じで終わってしまいました。
脳の仕組みは、30年後の今になっても
量子コンピュータのような働きをしているかもしれない
Are We Quantum Computers?
http://www.news.ucsb.edu/2018/018840/are-we-quantum-computers
「知能の高い人の脳ほど神経線維が発達しておらず神経回路がシンプル」
Diffusion markers of dendritic density and arborization in gray matter predict differences in intelligence
https://www.nature.com/articles/s41467-018-04268-8
のような論文が発表されていて、よくわかっていないというのが、本当のところです。
現在の第3次ブームの、でぃーぷらーにんぐは、こんどこそ人間の脳細と同じ動きをする万能人工知能だと思われているいるようですが、基本的な原理の実装と手書き文字認識程度が動くものは、以下のページにもあるように、みんなが大好きなExcelでも作れます。
Understanding Neural Networks Using Excel
https://towardsdatascience.com/understanding-convolutions-using-excel-886ca0a964b7
ニューラル・ネットワーク・コンピューティングのフレームワークは作るのが簡単なので、百種類ぐらい(もっと?)はあります。
【2017年】ディープラーニングのフレームワーク比較
https://www.slideshare.net/suzuryo3893/2017-81662877
A Survey on Deep Learning Toolkits and Libraries for Intelligent User Interfaces
https://arxiv.org/pdf/1803.04818.pdf
今のAIブームで、重要だと思うのは、でぃーぷらーにんぐの仕組みや、画像からネコを見つけたりアヤメを分類するサンプルプログラムなどではなく、先日発表されたフランスの国家戦略のレポート
FOR A MEANINGFUL ARTIFICIAL INTELLIGENCE
https://www.aiforhumanity.fr/pdfs/MissionVillani_Report_ENG-VF.pdf
にも書かれているように、
GAFAM (Google, Amazon, Facebook, Apple and Microsoft)
や
BATX (Baidu, Alibaba, Tencent and Xiaomi)
のような、一部の国家や企業が、すでに持っている(独占している)、圧倒的な、データ量、コンピューティング・パワー、資金力、人材、 が世界に及ぼす影響力です。
日本でも内閣府によるAI戦略が発表されていますが、落AI系の戦略では、5年後、10年後には、テクノロジーも情報も人材も全て外国任せになっているのではないかと、とても心配になります。
2018-05-19 17:20
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